みたにっき@はてな

三谷純のブログ

アニメ「正解するカド」に登場する球体折り紙

東映のアニメ「正解するカド」が話題となっているようです。

seikaisuru-kado.com

 

私もAmazon プライムで初回から見てきていて、そのストーリー展開の面白さから、毎回の放映を楽しみにしています。

 

フラクタル図形がメインに位置づけられていて、幾何学好きには嬉しい設定です。

 

これまでの話の展開として、無限の電力を生成できる謎の球体「ワム」が登場するのですが、つい先日に放映された第5話では、そのワムの製造を紙を折ることで実現するシーンが登場しました。

 

私は、以前から球体の折り紙を設計、制作してきていましたので、事前に制作サイドから連絡をいただき、「資料協力」という形で関わらせていただきました。

(と言っても、実際には何もしていません。。私がこれまでにインターネット上で公開してきた情報を参考にしていただいただけです。)

 

最初にお問い合わせをいただいたときには、「正解するカドってなんだ?」という状態でしたが、いろいろと制作の様子などをWebで知って、とても面白そうな内容だったので、実際の放映を見るのを楽しみにしていました。

 

今回、第5話のエンドロールに名前を入れていただくことができ、このような現在話題となっているアニメに少しでも関わることができたことを嬉しく思っています。

 

 

 

さて、私がこれまでに作った球体の折り紙は次のようなもので、左側が16枚の襞を持つ球体です。右側は、これを2つ連結した状態のかたちを1枚の紙で作り出したものになります。

 

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勘の良い方は気づいたと思いますが、球体は2つでも3つでも4つでも、いくつでも連結した状態を1枚の紙で作ることができます。その分、実際に折り上げるのは難しくなりますが。

 

これらの展開図は、拙著「立体折り紙アート」の特設ページで無償公開されています。

www.nippyo.co.jp

それぞれ、Chapter1, 2に含まれますので、興味がありましたら、ダウンロードして挑戦してみてください。

慣れないと難しいと思います。

 

本当にきれいに作りたいと思う場合は、A3サイズの少し厚手の紙に印刷し、先の固いもので折り筋を付けるようにしてみるとよいでしょう。輪の状態にするときに、両端を閉じて固定する必要があるので、ノリシロを確保して糊付けするとよいでしょう。

 

今から7年も前になってしまいますが、当時のメイキング動画がこちらにあります。

www.youtube.com

 

球体の折り紙は、自分でこれまでに作ってきたものでも気に入っているものの1つです。昨年末には、この球体をたくさん作って、つくば市の姉妹都市であるフランス・グルノーブル市にクリスマスオーナメント用に提供したこともあります。

 

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また、2010年から約5年間ほど、新宿伊勢丹の正面玄関を入ったところで、次のような写真のオブジェを展示させていただきました。球体が縦に積み上げられているので、なんとなくアニメに登場した構成に似ています。

 

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昨年度には、映画「シン・ゴジラ」と「デスノート Light up the NEW world」の両方に関わらせていただきましたが、今回は、アニメにも幾何学折り紙が登場したということで、なんだか立て続けに話題にしていただけて、嬉しくもあり、驚いてもいます。

 

多くの方に立体折り紙の魅力を知ってもらえて幸運です。

 

以下は参考までに。

 

junmitani.hatenablog.com

 

junmitani.hatenablog.com

 

最近観た映画

ここ最近、移動中の飛行機内での鑑賞を含めると、「パッセンジャー」「モアナと伝説の海」「ゴースト・イン・ザ・シェル」「ラ・ラ・ランド」と、複数の映画を観る機会がありました。

 

いずれも現在上映中で、話題の新作ばかりということで、映像の美しさからストーリーの深さまで、とても楽しく鑑賞することができましたが、見終わった後にもいろいろと考えさせられる、という点からは「パッセンジャー」が一番印象深いものでした。

 

地球を旅立った宇宙船が目的地の惑星に到着するまでの120年間、冬眠をしている乗客たちの中で、ただ一人、ジムという名の男だけが予定より90年も早く目が覚めてしまう。というユニークな状況設定の下、その後の展開にハラハラさせられます。

 

ネタばれになってしまいますが、ジムは孤独に耐えきれなくなって、ついには一人の女性を冬眠から覚ましてしまい、二人で共に宇宙船の中で生き、そして天寿を全うするという具合にストーリーが進みます。

 

ここでもし、自分が主人公と同じような状況に置かれたとしたら、いったいどうするだろうか、とか、起こされた方の立場だったらどうだろうか、などと考えることは、なかなかに楽しい思考実験な気がします。


主人公と同じ立場だったら、冬眠中の乗客を起こすようなことをするだろうか。逆にもしも、手あたり次第に、たくさんの乗客の目を覚まさせたら、どのような事態になるだろうか、など。など。 

 

ところで、映画の中では、睡眠中の乗客に助産師がいることを示すシーンがあり、これは宇宙船の中で子どもをつくるという伏線だと思い込んで観ていたのですが、そのような展開にはならずに、見事に期待はずれとなりました。

 

でも、これはきっと、鑑賞者が映画を観た後に、いろいろ考えるきっかけを与える仕掛けだったのでしょう。

 

二人が子供を身ごもった場合に、どのような展開になるだろうか、と鑑賞者に想像させるための伏線なのだと、しばらくしてから思いました。

 

90年という時間を、成人した人間は生き続けることができませんが、世代を経ることで90年間を乗り越えることができます。仮に宇宙船の中で3世代を経た場合、そこには、どのような社会ができているだろうか。そして、90年後に目覚めてくる他の乗客とどのように対峙するだろうか。など。

 

そんなことを考えるきっかけを与えてくれる映画ということで、「パッセンジャー」は、とても印象深いものでした。

つくばエキスポセンターでの折り紙ワークショップ

本日、つくばエキスポセンターにて「ふしぎな立体折り紙を折ってみよう」というタイトルでのワークショップを開催しました。

 

 

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http://www.expocenter.or.jp/?post_type=event&p=26860

 

午前と午後の2回の開催で、それぞれ1時間。定員は20名で事前申込制。参加費300円(加工済みの用紙代)での実施となりました。

 

ずいぶんと早い段階で予約がいっぱいとなったそうで、希望しても参加できない方がいらしたかもしれません。

 

20分くらい、折り紙の設計の話などをした後で、上記の写真にある作品に挑戦してもらいました。

 

ごく簡単なものですが、曲がった線を初めて折る、という方にはなかなか難しいようです。

 

参加者20名というのは、学生1名にお手伝いをいただいて、ちょうど全体に目を配ることができる規模でした。

 

 

つくば市近辺の穴場スポット:小貝川スポーツ公園

つくば市の小貝川スポーツ公園。

その一角に、滑らかに舗装されたスケートコースがあるのですが、あまり知られていないようで、いつ行っても閑散としています。

 

ゴールデンウィークなのに、写真のような感じ。全然人の気配がありません。

 

普通の公園だと敬遠されがちな、ローラースケートの類が滑りやすいコースで思い切りできるので、子供も喜びます。

 

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空間曲線での折り(2)

昨日に、1つの曲線を折るだけで面白い形が作れたので、今日も1つ作ってみました。

造形的には、昨日のものほど意外さは無いですが、1枚の紙、1つの曲線だけでも、いろいろな表情を表現できそうな気がします。

(写真の撮り方次第という気もしますが。)

 

少し先の話になりますが、生け花をされている団体からの講演依頼をいただいているので、その時に、このような造形を皆さんに挑戦してもらったら面白いものができるのではないかと思っています。

 

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空間曲線での折り

今日は、本日作った折紙作品の紹介だけで済ませてしまいます。

 

A4サイズの長方形に、曲線を1本だけ描いて、その線を折って作った造形です。

きちんと設計したわけではないです。

紙と遊んでいると、ふと面白いなという形に出くわすことがあります。

そんなアプローチで作ってみました。

 

最近は時間がとれなくて、いろいろ計算した結果の緻密な折りを繰り返す、なんてことができないため、できるだけ手抜きした結果の造形ですが、えてしてそういう時の方が、紙が作る自然な美しさが出てきたりするもので、面白いなと思います。

 

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学会プログラム委員の仕事

本日は、VCシンポジウム(Visual Computing / グラフィクスとCAD 合同シンポジウム 2017 )のプログラム委員会による採録論文検討会に参加してきました。

 

場所は東京大学の本郷キャンパスなので、筑波からだと、なかなか移動に時間がかかります。

 

このVCシンポジウムは、コンピュータグラフィックス関係では規模の大きい研究発表の場で、今年は6月に早稲田大学で開催されます。

 

今日は、約20名のプログラム委員が出席する中で、投稿された論文から、どの論文を当日の登壇発表に採択するかを議論しました。


あまり内部の様子は知られていないと思うので、簡単に紹介したいと思います。

 

まず、投稿された論文は1件につき3名の査読者が割り当てられます。
論文の著者も査読者も、互いに名前がわからないダブル・ブラインドで行われます。
論文の内容は各査読者によって1~5点で評価され、Webシステムに登録されます。
その後、同じWebシステムの掲示板を使って、査読者間で査読結果に対する議論を行って採否の方向を決定します。
その際、プライマリという第一査読者が議論をリードします。

 

さて、ここまでがオンラインでの話で、本日は実際にプログラム委員が集まっての議論を行ったわけです。


論文、1件ずつに、プライマリが査読結果のコメントを述べ、全体で採否の決定を行います。極端に得点が高い論文や低い論文は、あまり議論をせずに決定しますが、ボーダー付近の論文については、専門分野が近い委員を中心に議論が行われます。

 

自分の著者に含まれる論文について議論されるときには、公平性を担保するために廊下に出て待機します。

 

こうして、本日は約5時間の議論の末、無事に採録論文が決定したのでした。

 

普段あまり見えない、論文採否に関する議論の舞台裏は、こんな感じなのです。

 

プログラム委員会の皆さま、お疲れ様でした。