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三谷純のブログ

フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理」を読みました。
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
さすが「ネット上のベストサイエンスブック2000」で1位に輝いた本だけあって、非常に面白かったです。様々な時代の様々な数学者の研究の積み重ねによって一つの定理が証明されるまでの様子がドラマチックに書かれていて、ワクワクしながら読み進めることができました。「フェルマーの最終定理」に関する書籍は、定理が証明されたことが話題になった当事に他のものを読んだことがあるのですが、それに比べると今回のものの方が数倍おもしろかったです。

いろいろ感じるところはあったのですが、その中の1つとして話が少し逸れますが、ピアレビューのこと。以前の日記で論文査読をネット上でオープンにできないか、というような事を書きましたが、数学の世界では一度正しいと証明されたものは将来にわたって正しいものであり、証明済みのものを積み重ねて新しい事実を証明するのですから、現在行われているようなピアレビューが必要だということを痛感しました。

一方で、コンピュータ関連の世界では(全部とは言いませんが)「有効性」や「新規性」が重視されるわけで、これについては、査読者の主観が多分に含まれる余地があり、ピアレビュー無しでもうまく評価が機能するかもしれません。Slashdot ネタですが、Natureがピアレビューの無い科学論文サイトを開始したそうで。失敗するかもしれないですが、このような新しい試みは面白いと思います。