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みたにっき@はてな

三谷純のブログ

折紙の研究

16日に発売された拙著「ふしぎな 球体・立体 折り紙」が、早くもDan Kogai氏のブログGIZMODEなどの、大変アクセス数の多いサイトで紹介され、当ブログのアクセスや、Twitterのフォロワーが急に増えるなど、大きな反響をいただいています。
多くの方に、球体・立体折り紙の存在を知っていただけたことを嬉しく思います。

またその一方で、大変身に余る言葉でお褒め頂いていることに、少々とまどっています。
曲線・曲面を含む折り紙は、普段あまり目にすることが無いので(多くの方にとっては、これまで一度も目にしたことが無かったかもしれませんね)、驚かれた方が多いと思いますが、ちょっとした手品のようなもので、そのタネ自体には大それた理論があるわけではありません。本書の作品は、簡易な幾何学の範囲で設計できますので、その設計技法がわかった人(まはた知っている人)には、なんだか大げさなことを言っているようで大変恐縮な気がします。

ただ、このような書籍は今まで無かったようですので、本書を通して、多くの方に折り紙のことに関心を持っていただければ、大変嬉しく思います。
曲面を持った折り紙の形に興味を持たれた方は、私が作った作品の写真を多数アップロードしているFlickrのサイトも、是非ご覧ください。

このような機会を活かして、「折紙には、まだまだすごい可能性があるんだ」ということを、多くの方に知ってもらえるように努めるのが私の役目なのかな、などと勝手に思っています。

ということで、本日Twitterでつぶやいた内容を列挙して、「折り紙の学術的な側面」について、簡単に紹介いたします。

  • 折り紙のことについて、多少なりとも学術的な側面から興味を持たれている方は、まず「日本折紙学会(JOAS)」の存在を知っておくとよいと思います。 折紙探偵団という名前の専門誌を年6回、発行しています。 http://origami.gr.jp/
  • 日本折紙学会には、日本の名だたる折紙作家、折紙研究家が所属しています。年会費は8400円ですが、まずは機関誌「折紙探偵団」の定期購読(年3800円)だけでも、してみると、最新の折紙情報に触れることができます。毎号、ここでしか見られない、超大作の折り図が収録されています。
  • 毎年、お盆の時期に開催される東京コンベンションには、全国から400名ほどの折紙愛好家が集まり、新しい折紙の作品発表や交流の場として、大変盛り上がります。日ごろ、書籍やネットを通じてしか出会えない、折紙の大家に会うことができるチャンスです。
  • 日本折紙学会の事務局を兼ねている、「おりがみはうす」(東京都文京区白山)には、折紙作家の作品が常設されています。テレビチャンピオンの神谷哲史氏の作品をはじめ、世界中の折紙作家の作品があります。ここでの作品を見ると、今までの折紙に対する概念を覆されます。「おりがみはうす」のWebページはこちらです。http://www.origamihouse.jp/
  • 日本折紙学会では、「折り紙の科学・数学・教育研究集会」という集まりを年に2,3回のペースで行っています。東大名誉教授の三浦公亮先生はじめ、大学の先生や、折り紙好きの少年たち、主婦の方など、様々な方が集まります。共通点は「折り紙が好きなこと」だけ。
  • 次回は12月13日(日)。私の研究室の学生も発表させてもらう予定です。部屋の座席数は40程度で、いつもちょうど満席くらいなので、ここであまり宣伝して参加者が増えちゃうと、納まらなくなってしまう恐れが。。
  • 折紙を学術的な観点からまとめた良書としては、最近になって邦訳が出た「―リンケージ・折り紙・多面体― 幾何的な折りアルゴリズム」が、強く、強くお勧めします。http://bit.ly/7v17t5 16000円という高価な書籍ですが、折紙に関する研究の最先端を知ることができます。
  • 折紙の研究の多くは、数学の幾何にまつわる問題に帰結します。そのため、自分にもっと数学の素養があればなぁ、と思うことが多々あります。幸い、私はプログラミングができるので、簡単な幾何の問題をプログラムに落とし込んで、今まであまり、他人がやってないことをやったりしてます。
  • 折紙の世界に「設計」の概念が導入されたのは、ここ数十年くらいの話です。その設計にコンピュータが導入されるようになったのは、90年代くらいからであると認識しています。まだまだ、これからの発展が期待される分野です。
  • 折紙の工学的な応用については、日本機械学会の中に、「計算力学援用による折紙工学の推進とその応用に関する調査研究分科会」という分科会があり、車の車体への応用などの研究を進めています。http://www.jsme.or.jp/rc235.pdf (PDF)
  • また、日本応用数理学会には、折紙工学研究部会というものがあり、こちらでも工学的な応用についての研究がなされています。
  • 第5回目の、国際折紙学会 5th International Conference on Origami in Science, Mathematics and Education が、来年の7月にシンガポールで開催されます。 http://bit.ly/7tUP9M