みたにっき@はてな

三谷純のブログ

WISS2010

WISS2010が12月1〜3日の日程で行われていますが、2日目の午後少しのところまで参加してきました(明日は1,2限に3学期初回の授業が入っていて、残念ながらフル参加はできませんでした)。
今日の夜と明日の午前にある「全員参加型議論」を体験せずにWISS2010を語ることはできないと思いますが、1泊だけでも大変刺激的だったので簡単な感想を。

WISSに参加するのは今年で2回めになるのですが、去年に続き驚かされる点が多かったです。私が所属する他のどの学会よりも学生の割合が圧倒的に高くて若い熱気にあふれ、新しいことに果敢に挑戦し続ける運営側の技術力と情熱にも驚かされます。

まず、参加者180人全員が会期中使用できるノートPC用の電源とネットワーク環境が会場に完備されていることが驚きです(裏磐梯という山奥でありながら会期中ネットワークは快適に使用できました)。電源の確保、ネットワークの整備には多大な労力がかかったと聞きました。そのような技術力を運営スタッフが持っていることがすごい。
登壇発表の間はチャットシステムによるリアルタイムの議論ができ(良く作りこまれたシステムが準備されています)、さらに今年初の試みとして、発表の様子はニコニコ生放送ustreamを使って配信されました。
WISSチャレンジと呼ばれる、新しい試みを取り入れる仕組みがあり、毎年ワークショップの改善が試みられています。
ワークショップそのものが新しい実験の場となっていると言えるでしょう。

今回、私が共著になっている研究発表では、第一著者が現在アメリカにいるので、Skype経由での発表を試みました。メインスクリーンには、私が操作するPCで発表スライドとデモを映し、サブスクリーンには、Skypeの画面で発表者の顔を映させてもらいました。映像、音声ともに明瞭で、質疑応答も問題なくこなすことができました。さらに発表者はustream経由で、上映されているスライドの様子を確認することができ、まさにインターネット経由での双方向の発表が実現しました。一方で参加者はチャット上で、その発表についてリアルタイムの議論を行っています。すごい時代になったものです。

また、ナイトセッションでは、五十嵐先生の「デモ100連発」に始まり、皆さんの熱いトークが見られ、楽しい時間を過ごすことができました。WISSのあるべき姿に関する議論もあり、皆さんがこのワークショップをよりよくしてこうと考えていることがよくわかりました。
さて、私はたった2回めの参加ということで、どちらかというとまだ外部から見ているような感じですが、私から見たWISSの存在意義とは、どのようなものかな、というのを少し考えてみました。
各発表者、それぞれが興味を持っている内容を発表しているわけで、ともすると、それぞれの関係が希薄で、全体としてどの方向を目指しているのかがわかりにくいような気もするですが、それも一つのWISSの特徴でしょうか。今のWISSがあることによって、次のいい点があるのかな、と思いました。

  • 新しい技術に幅広く積極的に関わろうとする人材が100人以上集まること自体が貴重。WISS チャレンジを通して、この集団を実験台に使用できることは研究の題材としてすごい価値がある。
  • (提案されたシステムが本当に役立つかどうかはさておき)実際に手を動かしてハードウェアとソフトウェアの両方を組み合わせたシステムを自力で作れる人材のプールがある。このような人材の層が厚いことは、日本の技術力の底力を引き上げることにつながるのではないか。
  • インタフェースの研究は、(良くも悪くも? 現実の話として)学生がアイデア次第で、好きなことを追求できる数少ない分野。好きなことは頑張れるし、学生にとってもやりがいのある分野。
  • 常に会のあり方について模索していて、近未来のワークショップのあるべき姿に一番近いところにあると感じられる。

好き勝手書きましたが、運営委員およびプログラム委員の皆さんの熱意には感銘を受けました。Skypeを使っての発表では、いろいろ我儘を言いましたが、積極的に対応いただき、ありがとうございました。