みたにっき@はてな

三谷純のブログ

黒板の利点・欠点

ユーザインタフェースの授業の中で、授業を進めるうえで昔から使われている「黒板」というデバイスの、利点と欠点について学生に挙げてもらったところ、思いのほか面白い内容が集まりました。
せっかくなので紹介してみます。


■ 利点
・教師が板書するスピードがノートを取るスピードと一緒
・チラツキが無い、見やすい
・書いたとおりに表示される
・入力と出力に遅延が無い
・スペースが広い
・誰でもすぐに使える
・安心感がある
・図を簡単に描ける
・磁石が付く
・書いているときに音がする
・圧力で濃淡の表現ができる
・補足の書き込みが容易
・目が悪くならない
・視認できる角度が広い
・安価
・複数人で同時に書ける
・授業に集中しやすい
・書き順が分かる
・電気が不要
・故障しない


■ 欠点
・チョークなどを消耗する
・手が汚れる
・掃除が必要
・Undo,Redo, コピーペースト、拡大縮小、移動などの編集機能が無い
・アニメーションを表示できない
・書く人の字の綺麗さに読みやすさが依存する
・消す手間がある
・長期保存できない
・綺麗な図を示すのが難しい
・速度が遅い
・遠くから見にくい
・完全に消せない
・色が限られる
・スクロールできない
・書く場所まで移動しなければいけない
・テンプレート機能が無い
・大量の資料を提示するのに向かない
・その時、その場にいないといけない


黒板の利点として「音がする」という点を挙げている学生が複数人いたのが意外でした。
「音」で板書のタイミングを知ることができるのだそうです。なるほど。
こうやって挙げてみると、昔ながらの黒板にも多くの利点があり、すべての利点を電子黒板などで置換するのは難しそうです。特に、「授業の内容に集中してもらう。理解してもらう。」という観点からは、黒板は優れたデバイスと言えそうです。一方で、アニメーションや写真の提示で理解が深まる内容もあるでしょうから、板書とスライドの両方を上手に活用するのが大事ということでしょう。

ちなみに私が非常勤で担当させていただいている「図学」では、大きな三角定規とコンパスとチョークの粉と格闘しながら板書をたくさんするのですが、このように体を使って板書する授業はやりがいがあって楽しいです。