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みたにっき@はてな

三谷純のブログ

第6回 折り紙の国際会議(6OSME)レポート

第6回目となる折紙の国際会議(6OSME: The 6th International Meeting on Origami in Science, Mathematics and Education)が、8月10日から13日までの4日間、東京大学本郷キャンパスの弥生講堂で開催され、盛況のうちに幕を閉じました。

初日は参加登録手続きとレセプションだったので、実質的には3日間の研究発表会で、その間は4つのパラレルセッションで実に140件近くの発表が行われました。

また、これと並行して、吉澤章氏やEric Joisel氏の折り紙作品や、その他価値ある作品の展示、協賛企業の出展、一般公開も行われました。

研究発表のセッションでは、折紙の幾何に関する数学的な話、厚みのある素材の折りたたみをどのように扱うかという工学的な話、アート作品としてのデザイン・制作工程の話、教育への応用例の紹介など、まさに折紙に関する話題が一堂に集まった会となりました。


この折紙の国際会議は、これまでにおよそ4年ごとに各国持ち回りで開催されていて、前回はシンガポール、その前はアメリカでした。
今回、第6回目の会議が日本で開催されることになりましたが、これは第2回目に大津で開催されて以来20年ぶりのことです。

参加者は約300人ほどで、そのうちの約100人が日本から、それ以外の約200名は約30か国に渡る世界中からの参加でしたが、その内の約100名がアメリカからであり、日米の参加者の多さが目立った会となりました。

数年前に、アメリカ国立科学財団(NSF)による折紙プロジェクト(Origami Design for Integration of Self-assembling Systems for Engineering Innovation)が複数立ち上がったことにより、一気に折紙の応用に関する研究が盛んになったような気がします。
工学的な応用を目指した、折りたたみ機構の設計方法、自己収縮する微小な構造の製造方法などの研究がいくつか見られました。

招待講演は、ロボットアームを使ってステンレス板を折り曲げる「ROBOFOLD」で有名なGregory Epps氏、そして日本における折紙の歴史を研究されている岡村氏の2名を招いてのものになりました。


今回、ミウラ折りで名の知られている三浦公亮先生を議長とし、運営側は主に日本折紙学会評議員が中心になって進められました。
論文の募集、査読、プログラムの確定などの作業を行うプログラム委員会と、それ以外の事務作業と当日の運営などを行う組織委員会に分かれて準備を進めてきましたが、私は組織委員の担当となり、事前の準備から当日の運営全般を見る立場となりました。

これまでは、プログラム委員としての仕事を行うことが多かったなかで、開催国での現地担当として、会の運営全体に目が届く立場となり、貴重な経験を積むことができました。

以降には、約300人規模の国際会議を準備・運営した様子を、備忘録の意味で記しておきたいと思います。


■ Webページ
Webページを日本折紙学会のサーバを借りて、開催1年半前くらいにオフィシャルサイトを http://origami.gr.jp/6osme/index.html に構築しました。制作会社にお願いすることも考えましたが、それほど多くのコンテンツにならないであろうことと、直前にはバタバタと加筆が行われるであろうことから、最終的には自分で作成することにしました。


■ 参加登録、決済システム
自前でクレジットカード決済を行うことはできないので、代行サービスを使うことにしました。複数のサービスを検討しましたが、国際会議に特化した手厚いサポートのあるシステムはかなり高額で、簡易的な代行サービスと比較すると10倍近くの価格差があり、どのサービスを使うべきか、とても難しい判断をする必要がありました。結局、参加費を安く抑えるために最低限の機能で最も安価なサービスを選択したのですが、その結果としては、運営を進めるうえで「会計処理」にかなり頭を悩ませることとなってしまいました。参加登録フォームへの入力から、クレジットカードでの決済までにタイムラグがあったため、例えばカード番号の入力ミスによる決済失敗があったときには、数日後にそのことが判明することとなり、その場合の個別対応に多くの手間がかかりました。また、途中でのキャンセル、オプションの変更希望などもあり、今回は300名という規模だったので、どうにか対応できましたが、これ以上の場合には運営の仕方を変えないと対応が困難と感じました。
手間やコストを考えると、PayPalでの支払いをしてくれるケースが一番助かりました。


■ 協賛企業
参加費を安く抑えるため、また、参加者へのグッズをまかなうために、協賛企業を募りました。今回は折紙の国際会議ということで、直接利益につながるような業界が無いため、他の学会に比べると協賛企業を見つけるのが大変でした。それでも、役員の方々のネットワークを使って「紙」に関わる企業様に声をかけることで、最終的には約10社の企業様から協賛をいただくことができました。大型の折紙や付箋をご提供いただくことができ、特に海外からの参加者には喜んでいただくことができました。また、協賛企業様には展示用のスペースをご提供することで、折紙に関係する商品などの展示をしていただきました。


■ 学生ボランティア
当日の運営のために、開催地の近くの大学(東大、慶応、東工大東洋大、早稲田など)の折紙サークルの学生、約30人にお手伝いをしていただくことができました。
グッズの袋詰めなどの事前準備から、当日の登録窓口対応、各会場でのプロジェクタ・マイク対応、展示の見回り、コーヒーの提供、お弁当の配布、などなど、当日のあらゆることに協力いただきました。彼らの協力がなければ、当日はとても回らなかったと思います。感謝しています。


■ その他事前の準備
私が対応した以外の内容に、ビザ発行を希望する方への個別対応、宿泊先の案内や手伝い、Facebookでの情報発信、学生ボランティアの募集と取りまとめ、カンファレンスグッズの作成と発注、弁当の手配(ベジタリアンへの対応)、バンケットの準備、名札や領収書などの当日に渡すものの準備、Abstract集の作成(データを格納したUSBメモリ300個の作成は筑波大学の学生に手伝ってもらいました)、ポスターの作成、参加者へのメールで案内配信などなど、多くの作業が発生し、分担しての対応となりました。


■ 当日の運営
当日の運営については、個別の要望が数多く上げられ、それらに対応することが大変でした。
また、事前登録せずに、当日での参加手続きを希望する方が思っていた以上に多く、参加登録窓口がかなり混雑しました。
臨機応変に対応できるような準備の大切さを感じました。それでも、学生ボランティアの方が元気よく頑張ってくれて、とてもよい雰囲気で会を進めることができました。

ざっと思いつくものでも、次のような点への気配りが必要でした。
・落し物対応
・手書きでのサインのある領収書が必要という申し出への対応
・学会に参加したことの証明書の発行希望への対応
・カンファレンスグッズ(バッグ、ボールペン、Abstract集、協賛企業からのグッズ)だけを追加で購入したいという要望への対応
・当日になっての弁当の希望や、バンケットへの参加希望。
・報道者関係への対応。その他、撮影・インタビュー希望への対応
・会場での無線LAN使用、パスワードなどの発行。
・ゴミの処理
・展示品への個別対応(撮影禁止、手を触れていいものダメなもの、電源が必要なもの、自由に取っていっていいもの)
・名札、弁当チケットなどの紛失
・現地に来て、参加登録費を払うだけの現金の手持ちがない方への対応
・当日の発表キャンセル
(期間中、バタバタと対応していて、もっといろいろあったような気がするのだけど。挙げてみると案外少ない気がするなあ。。)


■ メール対応
基本的に、事前の準備や、参加登録者への個別対応はメールで行ったで、かなりの数のメールが飛び交うことになりました。
運営側のメーリングリストに流れたものを含め、私が今回の国際会議関係で受け取ったメールは約3000通でした。
個別対応を含め、私が送信したメールは約800通でした。直前には、メール処理でかなりの時間がかかりました。


ざっと、忘れないうちにと思って書いてみました。
300名規模の国際会議を、何もない状態から開催することは、あまり無いことと思いますが、もう一回あれば、もう少し工夫できたのに、と思うところも多々あります。
それでも、学会というものは、興味の対象を共有する同志の集まりであり、お祭りのような側面があります。
外から来て参加するだけよりも、どっぷり浸かって運営側として頑張るのも、また楽しい経験でした。

約1年半前から準備を進めてきた今回の会議が無事に終わって、ホッとしています。

会の全体を取りまとめながら多岐にわたる細かい点まですべてに気を配り、あらゆることを担当された西川氏、事務局として多岐にわたる作業を推進してくださった山口氏、松浦氏、ビザ発行のためのサポートをされた羽鳥氏、プログラム委員として学術的な面のとりまとめを中心的に進めてくれた舘氏、学会ロゴの作成とAbstract集の編集にご尽力くださった前川氏に敬意を払いたいと思います。
その他、すべての方の名前を挙げることができませんが、さまざまな点からご協力くださった皆さまに感謝申し上げます。


※ 2010年に第14回国際図学会を日本図学会が主体となって開催した時には、プログラム委員を担当しました。その時の参加登録者は約200名で、当時の記録がこちらの特集号で公開されています。この記録は、今回の運営の参考となりました。