太平洋側から地球を眺めると海ばかりしか見えないという話(2)
前回のエントリ
太平洋側から地球を眺めると海ばかりしか見えないという話 - みたにっき@はてな
で、
「見渡す限り海しか見えない、地球表面から最も離れた場所はどこか」
という問題を考えたら面白のではないかと思ったので、考えてみました。
つまり、下の図が地球の断面だとすると、青い点から見えるのは赤い線で表された範囲に限定されます( GeoGebra というソフトウェアを使って図を作っています)。
図が示すように、視点が地球表面に近づくほど見える範囲は狭くなります。
無限遠方からはちょうど地球の半分が見え、地表の近くでは、ごく狭い範囲しか見えないわけです。
とこころで陸地から最も遠い点は、到達不能極、またはネモ ポイントと呼ぶそうで、Wikipediaによると、下図の位置だそうです。
このネモポイントの上空から次第に地球表面に近づいていくと、どこかのタイミングで、海しか見えなくなるということ。
このネモポイントから、最も近い陸地までの距離は2688kmだそうです。
ということは、下の図の赤色の線を2688kmとし、円の半径を6387km(地球の半径)として、緑の線の色の長さを求めると、「地球表面から最も離れた海しか見えない点」の位置がわかることになります。
弧BEの長さをl(=2688)、ABの長さをR(=6387)とすると、∠BAC=θ=l/R
EC=AD+DC-AE=Rcosθ+Rtanθsinθ-R≒612km
したがって、ネモ ポイントでは上空612km以下では陸地が見えないことになります。
ちなみに、国際宇宙ステーションは上空400kmを飛んでいるそうで、ネモポイント周辺では、海しか見えないということになりそうです。
ということで、Twitterのツイートから始まった一連の考察から、以上のことが導き出されたわけでした。
少し考えればわかるような、ちょっとした話だけど、こんな風にして、ぷち研究が進むのは楽しいと思います。
参考までにこれまでの流れをまとめてみると、次のような感じです。
子供の読んでいる読売KODOMO新聞に、「太平洋側から眺めると海ばかりしか見えない場所がある」という小さな記事を面白いと思う。
↓
Google Earth で確認してみると、確かにそのような感じがする。
↓
海の割合が最も大きい半球を「水半球」と呼ぶことをTwitter経由で教えてもらう。
↓
Wikipedia で確認してみると、Google Earth の様子とだいぶ違う。
↓
3Dソフトで投影方法を変えて確認してみると、視野角と視点の位置によってだいぶ異なる。
↓
「ほとんど海」ではなくて「完全に海だけ」しか見えない場所があるはず。その境目はどこだろうかと気になる。
↓
(陸地から最も離れた海上の点を到達不能極、または、ネモ ポイント と呼ぶことを Twitter 経由で教えてもらう。)
↓
上記のようにして解いてみたところ、ネモ ポイントの上空600km程度までは海しか見えないことがわかる。
↓
Twitter経由で同等の答えが出されていることを確認。さらに、上空600kmというのは、国際宇宙ステーションは地表から400kmくらいの場所を回っていることから、国際宇宙ステーションがネモポイント上空を通るときには、海しか見えないということがわかる。
ということでした。
関連ツイートは次の通りです。
到達不能極なる考えがあるようですね。https://t.co/48uaxPnAK6到達不能極 https://t.co/U9dE2e7TQv
— 米沢 隆 (@yonezat) 2017年4月7日
@jmitani 600kmくらい上空でしょうか。
— れい@plalayout (@plalayout) 2017年4月7日
国際宇宙ステーションが上空400kmということなので、ステーションから最大ではないけれど海だけの地球が見える瞬間があるのか。 pic.twitter.com/InVdtQszyn