みたにっき@はてな

三谷純のブログ

折り紙シミュレータ

先日の日記に貴重なコメントをいただきました。

折紙者としましては、パソコンで折紙をシミュレートする意義は、「折り方から出来上がった形までを含んだ”折紙作品”の伝達」ではないかと思います。
折紙作品は、その作り方を共有するというところが他の芸術との違いの一つです。最近では多くの人によって日々新しい作品が生み出されているのですが、それに対して折り方を伝える手段というのは、「直接教える」、「折り図(工程図)を描く」、「展開図を見せる(上級者向け)」といった非効率的なものにたよらざるを得ません。
折紙をパソコンの中で扱うことによって、創作者が折るだけで、折り方の情報がストックされ、多くの人と共有することが出来るのではないかと思います。また折紙シミュレータを作ると、従来の「折り図」「展開図」では示しにくかった作品の構造のようなものを的確に表現できるのではないかと思っています。

なるほど折紙作品の伝達手段という位置づけは的確なご指摘だと思います。
テキストや2次元のイラストでは伝えにくいものを何らかの方法で伝えなくてはならない場合に生じる問題への1つの解決方法かもしれません。
そういえば、以前にロボットで伝統的な踊りをシミュレートすることで、伝統芸能の保存伝承に役立てるという試みがあることを知りましたが、それと共通する内容があるかもしれないですね。
でも、折り紙に関しては、折っている様子を解説音声付きでビデオで撮影するだけでもかなり効果的かもしれないですね。また、「折り図を用いる」というわかりやすい方法が既にある程度確立されているので、簡単に折り図を描画できる「折り図専用エディタ」さえ存在すればよいのかな、とも思いました(現在折り図専用のエディタの構想を考えているところでもあります)。

コメントの末尾の、構造の解析や評価のためには、やはり計算機の中にモデルを再現することは必要になるのでしょうね。折り紙シミュレータの存在意義はこのあたりにあるのかもしれません。

ちなみに、目黒氏の作成した円図ソフト(http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Oak/5487/keisanki/keisanki.html)のようなものは、シミュレータとは異なりますが、折紙作品の創作には役立ちそうですね。(でも、残念ながら私は円図から形を設計する手法の原理を理解できていませんT-T)