先月に、NHKのEテレにて「オリガミの魔女と博士の四角い時間」という短編ドラマが、各回15分で全4話放映されました。
折り紙の設計と創作をメインに据えた内容でありながら、子供と大人が一緒になって楽しめる優れた番組でした。
土曜日の深夜24時からという時間帯だったので、多くの人は観ていなかったと思いますが、嬉しいことに4月29日(土)の午後10時45分から再放送されるようです。
ぜひ多くの方に観てもらいたいと思い、ここで簡単な紹介を書いてみます。
番組では毎回、いたずら好きの魔女からオリガミ博士に対して、「○○を折ってごらんなさい」と、お題が出されます。
オリガミ博士は、それに応じるために頭をひねって、どのように紙を折るべきか考えます。
多くの人が想像するであろう、紙を折りながらの試行錯誤と違って、「ペンで展開図を描く」という、まさに「折紙設計」のアプローチが前面に出された構成となっています。
折り紙作品の多くは、適当な折り方で生まれるのではなくて、構造を理論的に考えたり、ときには計算によって作り出されるのです。
折り紙の研究に携わっている立場からは、まさに「こういうところを紹介して欲しかった」と思うような演出でした。
もちろん、おとぎ話風のフィクションですから、どれもこれも正確に表現されている、というわけではなかったですが、手抜きの無い作りこまれた内容になっていました。さすがNHKの番組だけあると思います。
第1話では、「悪魔」を創作した前川淳さんが直々に登場し、トカゲを例に折り紙設計の考え方を紹介しました。
前川淳さんは、折紙設計の第一人者で、現役で活躍中の折り紙作家です。
番組の中では、前川さんの著書「本格折り紙」に登場する作品が多数登場しました。
番組の舞台となる山小屋の中には、前川さんの作品があちこちに並べられていて、前川さんのファンにはたまりません。
番組のWebページには、番組に登場した作品の折り方が紹介されていて、パピヨン、流れ星、カワサキローズ、変形折鶴を折ることができます。あと、どういうわけかツル星人も(^^
どれも「鶴」よりかなり難易度の高いものばかりなので、かなり本腰を入れて作らないと、うまくできないと思います。がんばりましょう!
ちなみに、 オリヅル博士の
「折るというただそれだけの行為が紙に命を吹き込む、やがて紙は自らの力で立体に立ち上がる」
というセリフがとてもカッコよく印象的です。
余談ですが、前川淳さんのファンには、もっとも新しい著書、「折る幾何学」がおススメです。
さらにさらに余談になりますが、前川さんの「折る幾何学」について私が書いた書評が数学セミナー5月号に掲載される予定です。立ち読みで結構ですので、見ていただければ。