昨日は東京大学のファカルティハウスでペーパークラフトと折紙の研究に関する講演をしてきました。
「せんとくん」で有名な東京藝術大学の籔内先生の学生さんが多数参加。
(籔内先生もいらっしゃる予定だったのですが、お忙しくて都合が付かなかったとのこと。残念。)
私は今までもいろいろな場面で研究発表をさせていただいてきましたが、芸術を専門とされる方の前での発表は初めてだった上に、しかも皆さん「彫刻(文化財の保護)」の専門家ということで、どのように私の研究が評価されるのか、とても気になりました。
でも近年の「折紙」の発展や、コンピュータを使った折紙の設計に関する話には、とても感心をもっていただけたようでよかったです。
その後の懇親会では、今まで知らなかった、まさに異分野の世界の話をたくさん聞くことができて、とても楽しく過ごすことができました。
面白いと思ったこと。
・模刻を行っても、できあがった作品の顔は彫刻を行っている本人の顔にどうしても似てくる。
・模刻を行う上では、コンピュータや3次元測定機などの現代の機器を活用することに抵抗は無く、むしろ積極的に使用したいと考えている。
・機械やコンピュータを駆使して作品を彫れば完璧なものができるかもしれないが、それは面白くない。どこかに「破綻」が生じていることで意外性や驚きがあり、そこに人間らしさがある。
・彫刻は失敗が許されないので、失敗したとき(削りすぎた時)には冷や汗がでる。その失敗をどのように補うか、が逆に作品の味を出すことになる。
・顔のある作品は、ほぼすべての鑑賞者が顔ばかりに注目する。それ以外は、手や足などの末端部分が注目されるように思う。模刻の場合、顔の一部が1mmずれていても違いがわかってしまうが、体はそうでない。
・昔の作品では、顔が左右対称で無いものが多い。
・ものの形を描こうとするのではなく、逆に、もの以外の「空間」を描こうとすると、より正確にものの形を捉えられることがある。
・彫刻の専門家、日本画の専門家などで、たぶん、ものの形をスケッチするときに使う線の起き方は違う。