以下、先ほどTwitterでつぶやいた内容のまとめ。
- 「折紙の研究って、実際問題、何を研究してるの?」と疑問に感じる人も多いと思うので、いくつかつぶやいてみます。
- 「折紙の設計技法」目的の形を1枚の紙を折って作るにはどうすればよいか?というのを考えます。ボックスプリーツを用いた設計、サークルパッキングなどと呼ばれる技法が考案されています。コンピュータによる設計もある程度できるようになっています。
- 「剛体折紙」折紙の、紙を鉄板、折り線をヒンジで置き換えた場合に、はたしてそれは折りたたむことができるか、ということを考えます。実際に工業製品や建築物を作る上で重要な問題になります。
- 「曲線折紙」曲線・曲面を含む折紙の設計技法については、まだほとんどわかっていません。2008年のSIGGRAPHで「Curved Folding」という論文が発表されましたが、その設計方法については、ほとんど言及されていません。チャレンジの余地がある分野です。
- 「計算量の理論」折り線が与えられたときに、それをきちんと折りたたむことはできるか否か。という問題の答えを求めるのに、どの程度の計算量が必要か。とか、妥当な紙の重なり順を列挙するのは、NP完全な問題であるか、とかを研究します。
- 「厚みのある折紙」実際に工業製品に応用するには、素材の厚さを無視できません。厚さを考慮すると、2次元平面の問題が3次元物体の問題になるので、急に難易度が増します。厚みのある素材をきちんと折りたたむ、というのは難しい問題です。
- 「コンピュータ折紙のインタフェース」実際に折紙を折るには、2本の腕(10本の指)を活用しますが、コンピュータの中で仮想的な折紙を折ろうとした場合には、マウスのクリック・ドラッグ操作などで折る必要が生じます。どのようなインタフェースで折るとよいか、どのようなデータ構造がよいかなどを考えます。
- 「ロボットによる折紙」ロボットのマニピュレータの開発において、その「器用さ」を示すパフォーマンスとして、折紙をすることなどがよく行われます。ロボットで紙を折る、ということは難しいテーマです。
- 「生物との関係」昆虫が羽化するときには、小さく折りたたまれた羽根が驚くほど大きく広がります。また、植物のツボミが開花する時も同様です。その仕組みを解明するために、折紙の考え方が役立ちます。この、「小さくたたんだものを大きく広げる」機構は、宇宙船の太陽電池パネルの開閉などに必要です。
- 「折紙と数学」非常に広い領域です。折紙で3次方程式を解く。折紙で正多角形を折る(10角形まではすべて折れる)。山谷の折り線が平坦に折りたためるための条件、などの理論的な考察を行います。
- 「折紙と教育」折紙を用いた教育法について研究します。例えば、鶴の展開図などから、直角三角形、角の二等分線と三角形の内心、などの幾何の学習を行うことができます。算数の教材として折紙を活用する方法が多くの方から提案されています。教育効果については、慎重な議論が必要です。
他にももっとたくさんのテーマがありますが、だいぶニッチな話になりそうなので、とりあえず上記の10個を挙げてみました。
Twitterだと140文字の制限があるのですが、それがかえって、個別の内容を簡潔に書くことになっていいかも。