査読
I先生の日記にて
某グラフィクスの教授が「SIGGRAPHの査読の仕組みが不公平で耐えられないのでもうグラフィクスの研究はやめる!」といって理由を語っているページ
と紹介されているページ
http://www.cs.utah.edu/~michael/leaving.html
この手の話は学会の運営の根幹に関わる話なので、何か書くのは結構怖いものがあるのですが、この件のSIGGRAPHに限った話でなく、すべての学会おいて行われている「数人の専門家が論文を評価する」という査読プロセスは、公平性だけでなく正確さにも問題があるかもしれない、と思うことがあります。この「数人」が時には2人だけだったりして、本当にその2人が論文の内容を完全に理解して妥当な評価を下せるという保証はどこにもないわけです。
というわけで、これらの問題も含めて、インターネット時代の学会誌の有り様を勝手に考えてみました。
- 誰でもいつでも好きな書式でインターネット上に論文を公開できる
- 誰でも公開された論文にアクセスできる
- 論文に対して議論の場(BBS)が設けられていて、誰でも自由に議論できる
- 論文の評価は従来の被引用数に基づくインパクトファクターと同じ考え(Googleのページランク)などで行う
上記のメリットは結構たくさんあります。
- 論文を仕上げてから世間の目に触れるようになるまでタイムラグが無い(通常の査読プロセスでは6ヶ月くらいかかる)
- 誰でも無料で論文にアクセスできる(通常の学会誌は会員限定、または有料)
- ページ数や書式に制約がない。ムービーやサウンドなどの一般的なデジタルデータを扱える。データをCSV形式で置くこともできる。
- リンク形式で、参考文献を簡単に辿っていくことができる
- BBSでオープンな議論ができる
デメリットはそれほど大きくないような。
- 学会運営の運営資金が得られない(国が費用を出す)
- 論文データが後から削除、改変される可能性がある(国がデータベースを運営して、改訂の履歴を全て保持すればよい)
以上勝手な妄想でした。