みたにっき@はてな

三谷純のブログ

「曲線が美しい立体折り紙(ブティック社 )」

 これまでに制作してきた、立体折り紙の型紙を収録した

「曲線が美しい立体折り紙」

が8月3日にブティック社より出版される運びとなりました。

 

曲線が美しい立体折り紙 (レディブティックシリーズ)

表紙に写っているような、立体的な折り紙26作品について、その型紙(展開図)と組み立ての工程が収録されています。

 

収録作品の多くは、これまでに出版してきた、次の3つの書籍の中で紹介してきた作品の再録となっていますが、見た目が美しく、それほど難易度が高くないものを選んでいます。その中のいくつかは本書に掲載する際に、一部手直しをしました。

ふしぎな 球体・立体折り紙

立体ふしぎ折り紙

立体折り紙アート

 

 

展開図をコピーして使うことを前提としているので、「ふしぎな球体・立体折り紙」と「立体不思議折り紙」のような用紙を切り離すタイプのものとは違って、何度でも制作にトライできます。

 

また、「立体折り紙アート」とは違って、収録されているすべての作品がカラーで綺麗な写真とともに、制作のプロセスが紹介されています。

 

というわけで、これまでに出版されてきたものとは少し性格が異なる感じになっていますので、今までとは違った層の方々にも手に取ってもらえたら、と思っています。

 

これまでの本の出版に際しては、私自身が撮影した写真が使われていましたが、今回はプロのカメラマンにすべて撮影していただきました。写真はすべてカラーで掲載されますので、とても綺麗に仕上がっています。

 

作品を紹介した口絵のページは、作品ごとに背景が設定されて、ものによっては小物と一緒に、ものによってはモノトーンで綺麗に、または、色の付いた用紙を使って色鮮やかに、さまざまな演出が施されています。写真集と言う位置づけでも楽しんでいただけるのではないかと思います。

 

折り工程の紹介は、私が実際に折っている様子を撮影していただいて、1つ1つの工程を明瞭な写真で説明しています。さすがはプロのお仕事、と感心しました。

 

今回のブティック社さんとのお仕事では、編集担当者さんに、とても親切に、そして熱意を持って対応いただきました。

 

これまでの本とは、また違った雰囲気で私の折り紙作品を世に出していただくことができ、嬉しく思っています。

 

 

曲線が美しい立体折り紙 (レディブティックシリーズ)

曲線が美しい立体折り紙 (レディブティックシリーズ)

 

 

JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)訪問

博士論文審査の関係で、JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)の上原隆平教授の研究室へ伺いました。

 

上原先生はアルゴリズムや計算量に関する研究を専門とし、折り紙やパズルに関する論文を多数発表されていることで有名です。パズルについては、JAIST内でパズルギャラリーを運営するほどの力の入れようで、2万点近くの収蔵品があるとか。今回、ギャラリーを初めて見せていただくとともに、そのバックヤードに収められたパズルの山に驚かされました。

 

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 こちらの写真はギャラリーの様子。とてもお洒落な外観だけでなくて、ギャラリーの空間を外側から中央に向けてギューと押し込むと(実際にはできませんが)、凹凸部分が互いに隙間なくはまり込んで、中身の詰まった直方体になるのだとか。

 

こだわりが伺えます。

 

下の写真は、チャイニーズリングという知恵の輪の仲間で、1つの輪を動かすのに1秒かかるとすると、解くのに1400年くらいかかるのだとか。

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 チャイニーズリングに関する説明はこちら

チャイニーズリング - Wikipedia

 

つくばエキスポセンター 企画展「3次元のかたち~作る技術、感じる技術~」撤収

つくばエキスポセンターにて開催されていた企画展

「3次元のかたち ~作る技術、感じる技術~」

が、本日最終日となりました。

 

 

この企画展では、筑波大学が後援となり、私は監修という立場で関わらせていただきました。企画が立ち上がったのは半年以上前の話となります。企画の検討から準備、展示、各種のワークショップを通して、科学館の裏側を知る、貴重な経験をさせていただくことができました。

約2か月半にわたる展示期間では、折り紙をメインに、立体物の構成、表現を扱った内容を、多くの来場者に触れていただけたのではないかと思います。

 

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最終日の本日は、愛知工業大学の宮本好信教授による、回転建立方式(RES)による、板材からのドーム形状立ち上げのデモも行われました(リンク)。

 

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今回は、アクリル板で作ったテンプレートに沿って折り筋をつけて、それを折ることで球体を作れるようにしました。最終日には、ミームデザイン学校での受講生たちも来てくださり、球体折紙をワイワイ楽しく体験してくれました。

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本日、夕方の撤収も無事に終わり、これで私の仕事は一区切りですが、学芸員のみなさんは、さっそく次の企画展に向けて動き始めています。

 

ご協力くださった皆様に、感謝いたします。

 

関連エントリ

つくばエキスポセンターでの企画展と学芸員さんの仕事 - みたにっき@はてな 

 

 

書籍紹介 「折り紙学」(西川誠司著)

 

 

折り紙学 起源から現代アートまで

日本折紙学会評議員の西川誠司氏による、「折り紙学」という書籍が出版されました。

 

大きな文字とたくさんの写真が掲載された大型本です。

本文は優しい文体で書かれていて、小学生などの子どもたちを対象としているように見えますが、その内容は、折り紙の歴史を紐解く、しっかりと地に足の付いた構成となっています。

 

日ごろ何気なく「折り紙は日本の文化」と思っているところに、冒頭から海外の折り紙アーティストの作品が大きく紹介されていることに、まず驚くことでしょう。

表紙の大きなゾウは、スイスの折り紙作家の作品です。

 

パート1では、日本の折り紙の起源として平安時代の「畳紙」、室町時代の「折形」を経て、江戸時代に開花した折り紙の文化が紹介されています。

その一方で、フランスの画家カロリュス・デュランの作品『喜び楽しむ人びと』(1870年)に、折り紙が描かれていることを紹介し、ヨーロッパで独自に発展したと思われる折り紙の文化についても触れています。

 

私たちの多くは、子どもの頃から折り紙に親しんでいますが、その歴史については、驚くほど何も知らないできたことを再確認させられます。

 

日本が誇る文化の1つであるからこそ、その歴史については正しい認識をもっている必要があるでしょう。

 

パート1の後半では、折った後の形と展開図の関係に関する考察、科学分野への応用など、さらに一歩進んだ内容が紹介されています。

 

そしてパート2にて、ようやく一般的な折り紙本に見られる折り図が登場します。

 

このように、他に類を見ない、「折り紙『学』」の書籍を、敢えて子ども向けの本として出版された背景には、日本折紙学会の評議員代表も務められた西川氏の、「このような本が存在しなくてはならない」という強い想いを感じます。

 

願わくば、一家に一冊、というように普及して欲しいものですが、まずは各小学校や図書館などに置かれて、多くの子どもたちに手に取って欲しいと思います。

 

 

折り紙学 起源から現代アートまで

折り紙学 起源から現代アートまで

 

 

 

球の表面積の公式について

球の表面積を求める公式が {
S=4 \pi {r}^2
} であることを説明するGIFアニメをネット上で見つけました。

その見せ方がとてもかっこよかったので、Twitterでツイートしたところ。。

あまりにたくさんの反応をいただいて、驚きました(私は紹介しただけですが。。)。

ツイートしてからまだ2日目ですが、両方を合わせると3万4千を超える勢いとなっています。

なんだかんだ言って、みなさん数学大好きですね!

返信やリツイートの内容を見ていると、

「わかりやすいような気もするけど、でもやっぱりわからない」

という感想が多い気がします。

このGIFアニメは、次のようなステップで球の表面積を計算していますが、とくにステップ2の寄せ集めるところがわからない、という意見がたくさん見られました。

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たしかに、寄せ集めの部分はあっという間に変形して終わってしまうので、直感的によくわからないような気がします。

乗りかかった舟ですので、「わからないけど、わかりたい」という人向けに、手短に解説を試みたいと思います。

先ほどの図に対して、緯度線に色を付けてみると次のようになります(南極と北極が左右に来るようなイメージです)。

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寄せ集めた結果の縦方向の長さは、緯円(等緯度の円)の周長であることがわかります。極に近づくほど先細りになり、最も長いのはクリーム色で示した赤道部分で、その長さは {
2 \pi r
} です。

では、この「寄せ集めた結果の図形」の輪郭はどのような式で表されるでしょうか。

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経線で球を切断し、極から円周に沿ってxの値を取ると、上の図のように緯円の半径は {
r \sin {\theta} = r \sin (\frac{x}{r})
} で表されます。

{
 {\theta} = {\frac{x}{r}}
} となる理由は、少し考える必要があると思います。考えてみましょう!)

従って、緯円の周長は {
 2 \pi r \sin (\frac{x}{r})
} となりますが、GIFアニメの例では、これを半分に切って、上半分の面積を {
 0 \le x \le \pi r
} の範囲で積分しているので、GIFアニメに登場する数式の左半分が

{
 \int_0^{\pi r} \pi r \sin (\frac{x}{r}) dx
}

となるのです。

右半分も同様ですね。

説明終わり。

でも、球の表面積を求める方法は他にもありますから、このアプローチが唯一と思わないほうがいいです。

もっとわかりやすいと感じる方法もあることでしょう。

こちらとかも参考にしましょう。

球の体積と表面積を積分で証明 | 高校数学の美しい物語



以下は余談です。

ステップ2の寄せ集めてできる図は、サンソン図法と呼ばれる投影法で得られる形です。

サンソン図法 - Wikipedia

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サンソン図法では面積が実際のものと同一であるという特徴があり、この図の面積が球の表面積と等しくなります。



あと、Twitterを見ていたら

『球の体積の公式 {
V=\frac{4}{3} \pi {r} ^ 3
} を微分すると球の表面積の公式に一致する』

という書き込みが目にとまりました。

直径の異なる球の表面を足し合わせると、中身の詰まった球になりますから(玉ネギのように、球形の薄皮が重なり合うイメージ)、表面積の積分が体積になって、体積の微分が表面積になりますね。



それにしても、CGアニメーションを用いた説明は、とくに幾何学の分野で有効ですね。

これだけ多くの反応があるのですから、同様な映像が、もっとたくさんあったらいいなと思います。

ただ、そうは言っても、ビジネスとして取り組むのは難しいような気もします。ボランティアでもいいのですが、うまく予算を確保して、体系的に整備できると、教材としても使いやすくなるだろうなぁ、とは以前から思っているところです。

以下は約2年前の関連エントリです。

junmitani.hatenablog.com

ローレンツ アトラクタ

この二重振り子の話をTwitterで見かけて、面白いなぁと思いました。

 

その後、別の方のこのようなツイートも。

 

うわー。楽しい。

初期値がほんの少し違うだけで、その後の挙動が大きく変化するような現象は、カオスの分野でよく研究されています。

カオス理論 - Wikipedia

 

 

私の場合、カオスと言ってすぐに思い当たるのがロジスティック写像とローレンツ方程式で、ローレンツ方程式だったらすぐに実装できるでしょうと思ったので、さっそくJavaScriptでアニメーション表示してみました。

 

 個々の点をローレンツ アトラクタと呼ぶみたいですね。しばらく一緒に動作しながらも、ある一定時間たつと、バラバラになって、それぞれが独立して渦を描くように動き出します。

 

Wikipediaに掲載されている微分方程式は次の通り。

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それぞれの微分値を微小時間 dt の値だけ掛けて加算すればよいので、簡単に計算できます。

プログラムコードはこんな感じ。

Lorenz attractor

 

精度よく計算するために、ルンゲクッタ法を使用する方法が紹介されていることもありますが、今回は精度は気にしていません。初期値の設定もかなり適当ですので、いろいろいじってみると、面白い結果がえられるかもしれません。

 

 

 

日仏フォーラム「人工知能は社会をどのように変えるのか?」

六本木アカデミーヒルズで開催された、日仏フォーラム「人工知能は社会をどのように変えるのか?」

http://www.institutfrancais.jp/blog/2017/05/16/ai/

に参加し、各界で活躍されている方々のパネルディスカッションを聴講してきました。

 

人工知能を活用した技術が様々に普及した近い将来に備えて、今考えるべきことについて、倫理、法律、仕事、教育の観点からの議論がされました。

 

9時半から、昼休みを挟んで18時まで、という長丁場で、たくさんの話があったので、とても全体を整理しきれないので、以下に本当に少しだけですが、私の心に響いた発言を書いてみます。

 

冒頭、南條史生氏の基調講演では、「 AIが全て仕事をやってくれる時代になったとき、仕事以外での時間の使いかたが問題になる。じつは日本の江戸時代が、平和に時間を過ごすモデルになるのではないか。この時代、平和で豊かであり、いろいろな芸術に流派が発生し、その技を競い合った。仕事が無くなったら、人は芸術に没頭することができる。」という趣旨の話をされていて、さすが森美術館館長。と思いました。

 

最初のセッションで、倫理的な問題について議論がされるなか、フランスの法学部の教授による、「倫理について議論しながらも、実は皆さん、権利と法律について語っている。人類は、これまでにずっと、法律によって許されることと、許されないことを定義してきた。法学的な議論こそが必要とされている。」という趣旨の発言に、オッと思いました。今まで人工知能の分野で、法学の方の話を聴く機会がなかったので、まさに、様々な分野を横断する議論が求められていることが、明確に示されたと感じました。

 

今回、唯一のエンジニアであったPreferred Networks の丸山宏氏は最後に、「機械学習という技術は、人間の認知バイアスにつけこむサービスを作り出すことが得意な技術であることを知っておく必要がある」という点を強調されていました。

 

最後のセッションの司会をされた、野中ともよ氏は、最後に「今回のフォーラムのタイトルは『人工知能は社会をどのように変えるのか?』となっているが、 私たちは、そもそもどのような社会をつくりたいのか。そして、そのために、どのような人工知能を作るのか。そういう考え方をしなければいけない」という趣旨の発言をされいました。

 

このフォーラムの中でも言及されていましたが、一方では Amazon、Apple、Google、IBM、Microsoft、Facebookなど、そうそうたるIT企業がPatnership on AI という研究団体を立ち上げるなど、時代はどんどん進んでいます。

Home | Partnership on Artificial Intelligence to Benefit People and Society

 

 私自身が生きているうちに、どのように世の中が変わっていくのか、とても興味深いです。