日本図学会
この土日に日本図学会の大会が東京大学であり、その席で論文賞と学会賞を受賞することができました。
論文賞とは、論文に対して送られる賞ですが、学会賞は今までの研究活動全体に対して与えられる賞です。
大変光栄に思います。
学会賞受賞者の選定の段階でいただいた推薦文で、今までの研究を次のように評価していただくことができたので、ここで紹介させていただきたいと思います。
私の今までの研究を端的にまとめていただいたと思います。ありがとうございます。
選考理由:
三谷純氏は、形状モデリングに関する研究をはじめとして、ペーパークラフトや折り紙の幾何学に関連した数多くの研究成果を日本図学会、情報処理学会、Int. J. Shape Modeling及びEurographics Workshopをはじめとする数多くの国際会議で原著論文、学会講演として発表しています。その中で、コンピュータによるさまざまな幾何処理とユーザの意図を容易に反映できるインタラクションを考究し、それらの成果が図学会にとって極めて重要であることを提示してきました。氏はコンピュータ内部の3次元形状からペーパークラフト用の展開図を生成する手法や折り紙建築モデルの設計支援、展開図に着目した折り紙の形状に関する研究などを行ってきました。
・3次元形状の展開に関しては従来よりさまざまな手法が提案されていますが、自由曲面を近似的に展開するなど計算幾何学を用いて極めて有用な3次元形状の展開手法を考案したほか、展開図からの紙模型工作に要するコスト(時間)の算出を試みるなど、組み立てやすさまで考慮した非常に独創的な視点で研究を行っています。
・折り紙建築モデルに関する研究では、その展開図と立ち上がり形状の幾何的関係を活かし、ユーザが直接3次元形状を操作できる対話的設計手法を提案しています。
・折り紙に関する研究では、展開図と折りたたみ後の形状をコンピュータ内にモデル化するための効率的な手法を提案し、今後の折り紙の研究基盤となる技術の構築を進めています。これら一連の研究は従来の図法幾何学で取り扱ってきた3次元形状の平面展開という課題に、新たな学問分野を示したものです。特に、手による作図手法を大きく発展させ、計算機科学を活用した新たな図形科学の一分野を切り開いたといえます。また、氏の研究成果は、ユーザインタフェースにも優れた面を持っています。氏が開発したシステムを利用した教育事例も報告されています。さらに開発システムは市販ソフトウエアとして発展しており、多くのユーザが利用しています。このことは、氏が開発したシステムが図形科学教育へも活用できることを示しています。
以上の業績は、図学、および、図学教育の発展について多大な寄与を果たしたと考えます。