3月3日までの間、日本橋三越本店にて第19回 NHKハート展が行われています。
http://www.nhk-sc.or.jp/heart-pj/art/heart/
東京での開催をスタートとして、これから全国を巡回する予定のようです。
このNHKハート展とは、障害のある方がつづった詩に託された思いを、著名人やアーティストがハートをモチーフにアート作品で表現する、というもので、詩とアートを組み合わせた展覧会で、今回で第19回目となります。
詩と作品はWeb上からも見ることができて、次のページでは50の作品の一覧を見ることができます。
http://www.nhk-sc.or.jp/heart-pj/art/heart/work2014/index.html
今回、光栄にも私も作画者として参加させていただくことができました。
作画者はアーティストや俳優、歌手などの著名人が多く、私にとっては、その中に加わらせていただくとは恐れ多いことでしたが、せっかく声をかけていただいたので、有難くお引き受けすることにしました。
今回の作画者名の肩書を見るとデザイナーやタレント、歌手、写真家などの文字が並び、「大学准教授」というのは異色な感じです。
NHKでは過去に「ノージーのひらめき工房」に少しだけ出させていただいたことなどがあり、これがご縁になったのかな、と思っています。
私の作品は、こちらのページで紹介いただいています。
http://www.nhk-sc.or.jp/heart-pj/art/heart/work2014/work36.html
以下では、この作品がどのように作られたかを紹介したいと思います。
ハート展のご担当の方に声をかけていただいた時には、どのような作品にすればよいかずいぶん悩みましたが、私が絵を描いてもしかたないので、やはり折り紙で表現することとしました。画材には制約が無かったので、折り紙作品でも問題なさそうでした。
いただいた詩のテーマである「オセロ」と、展覧会のモチーフである「ハート」を組み合わせたものを考えることになります。
あまり言葉にとらわれずに、抽象的なものでも良いのでしょうが、具体的な対象があったほうが作品は作りやすいので、素直にオセロ盤とオセロの駒を折り紙で表現することにしました。
単純な思考ですが、駒はハート形にしようと考えました。
ハートの形を折紙でつくる方法はよく知られていて、折り方を紹介した本もありますが、私が作るからには、やはりコンピュータで設計したものでないと意味がないと思い、新しく設計することにしました。
展示方法の制約上、厚さは25mmまでに限られたので、なるべく薄く、でも立体的に見えるような形を心がけました。
オセロ盤は、忠実に8x8の格子にすると細かくなりすぎるので、4x4としました。格子の線を紙の折り返しで表現するのでは、あまりに単純なので、交点に直方体を置くこととしました。
形と展開図は、こちらで公開している ORI-REVO というソフトウェアを使って設計しました。
続いてオセロの駒ですが、ハートの形は別のソフトウェアを使って設計しました。
パソコンの画面で立体的な形を確認しながら微調整して、下のような形にしました。
↓この展開図はこんな感じになります。折ってみるまでは、これがハートになると言われても、なかなかわかりません。
↓もう1つ、駒の形をORI-REVOで作りました。
ハートの形にこだわらずに、折りがたくさんあって見栄えがするよう心がけました。
とても小さいので、あまり複雑にはできません。
↓2種類を2つずつ、4つの駒ができました。
500円玉と並べているので、小ささがわかると思います。
コンピュータを使って設計する、という一連の流れが、私が折り紙を作る際の個性だと思い、
展開図も併せての作品としました。それが冒頭の写真です。
以上、NHKハート展のための制作の舞台裏でした。
何かのモチーフをいただいて作品を作るという、今までにない経験をさせていただきました。