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三谷純のブログ

ペンローズタイル

前回の記事で、下の写真のペンローズタイルのことを紹介しました。

このタイル張りは、オックスフォード大学の Mathematical Institute の建物 The Andrew Wiles Building の前の広場で見ることができます。

Our Building | Mathematical Institute

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とてもユニークなタイルパターンで、Wikipediaの説明の中では、

 平面充填しようとすると非周期的な並べ方が強制される非周期的平面充填の一種であり、二種類のみを使う唯一のものである。

 と説明されています。

ペンローズ・タイル - Wikipedia

 

日本語のページはわりと簡潔な説明にとどまっているものの、英語のページはかなりの分量で説明があるので、興味を持たれた場合には、英語の説明を見てみるとよいでしょう。

Penrose tiling - Wikipedia

 

このタイルパターンを発見したロジャー・ペンローズは、第7回折り紙の国際会議の会場となったイギリス オックスフォード大学の教授です。

Roger Penrose - Wikipedia

 

上記の写真のタイルは、まさにそのオックスフォード大学の数学科のキャンパス内に敷き詰められたものですが、かなり特殊なパターンであるために、実際の施工にはかなり時間がかかったようです。

こちらに実際にタイルを敷き詰めている様子のタイムラプス動画がありました。

www.youtube.com

動画右下のタイムスタンプを見ると、どうやら完成までに6か月以上を要したようです。

 

下の写真は、オックスフォードのThe Andrew Wiles Buildingに掲示してあったパネルで、オックスフォード の数学のABCが紹介されています(実際はDEF・・とさらに先までありました)。

この先頭のAが、Aperiodic tiles(非周期性タイル)となっていて、まさにペンローズタイルについて紹介している点が象徴的です。

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Twitter では、本当に2種類のタイルからできていることをPhotoShopを使って確認した、という方の投稿もありました。

 

このペンローズタイルは、幾何学模様が好きなコミュニティ(折り紙が好きなコミュニティとかなり重複しています)ではとても有名で、アメリカの折り紙研究家のRobert Lang氏が、真上から眺めるとペンローズタイルの敷き詰めが現れる折紙作品 Pentasia を2013年に発表しています。

Paper Pentasia: An Aperiodic Surface in Modular Origami | SpringerLink

下の写真は、この論文で紹介されているもので、複数のパーツを組み合わせて作るモジュラー折り紙作品です。

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Robert Lang氏は、ほかにも1枚の紙から同様の形を折りだすこともしていて、その展開図がこちらで公開されています。

https://langorigami.com/crease-pattern/single-sheet-pentasia-opus-645/

 

 

 

ペンローズといえば、不可能立体でも有名で、誰もが見たことがあるであろう、以下の形は「ペンローズの三角形」と呼ばれています。

 

ペンローズの三角形 - Wikipedia

 

一部分だけ取り出せば、まったく問題のない、実際に存在しうる形のようでありながら、全体が整合するような立体は存在しない、「不可能図形」または「錯視立体」の代表的なものとして知られています。

不可能図形 - Wikipedia

 

このような、実在しえない不可能図形を、特定の視点から眺めた時に限って再現するような取り組みもいろいろされています。

ペンローズタイルの話から脱線しましたが、このように楽しい幾何学の世界は、いろいろリンクしています。