4年に一度のラグビーワールドカップが、今回、日本で開催されることになり、大いに盛り上がっています。
このワールドカップの期間中、各試合ごとに優れたプレーをした選手(Player of the Match)を選出し、その活躍を讃えるためにトロフィーが渡されます。
今回、このデザインを「折り紙をモチーフとしたものにしたい」という話をいただき、全面的に協力させていただきました。
実際に声をかけていただいたのは5月ごろで、そこから紙での試作、3Dデータの提供という流れで、初期デザインを担当させていただきました。
コンセプトは、日本の文化、テクノロジー、そして選手とファンの情熱です。
最初は、曲線での折りを入れたいと思っていたのですが、今回は試合会場にてトロフィーの表面にレーザー彫刻を施すという新しい試みを行うために、形は多面体で表すことになりました。また、製造上の制約から、あまり複雑な折り形状を含めることができず、最終的にはずいぶんシンプルな形になりました。
色についてのアイデアは持ち合わせていなかったのですが、漆のような黒と赤という日本らしい色彩にまとめられて、かっこいいものになりました。
デザインに協力しました。という話だけで済むかと思ったのですが、その後にプロモーションビデオ撮影の話があり、トロフィーができあがったという8月下旬に、都内の撮影スタジオに丸一日こもることになりました。
折り紙作品を作っているシーン、コンセプトを説明しているシーン、トロフィーを手に持っているシーン、パソコンに向かってなにやら3Dモデルを操作しているシーン。などなど、10人を超えるスタッフが見守る中、これほどモデルさんのような感じでパシャパシャと写真を撮られたのは初めての経験でした。
そしてその後、ラグビーの試合の観戦に招待いただき、10月6日に東京スタジアムで行われた、ニュージーランド対ナミビア戦を観ることができました。
また、スタジアムの内部で、実際にトロフィーにレーザー彫刻を施している様子を見学させてもらうこともできました。
試合終了3分前に、それまでの活躍から決定した表彰対象のプレイヤーの情報や、その日の試合に対するSNS上の反響などを一瞬で刻んでしまいます。
あれよあれよという間に、表面に文字が現れるので驚きます。
そして、このできたてホヤホヤのトロフィーを選手に渡すのですが。。
なんと今回は、特別に私の手から渡させてもらうことができました。
この日の受賞選手は、ニュージーランドのアントン・レイナート ブラウン選手でした。
トロフィーのデザインというお話をいただいたときは、とても光栄に思い、喜んで引き受けましたが、試合観戦や、ラグビー選手へのトロフィー授与という話にまでつながるとは思っていませんでした。とても幸運なことだと思います。関係者の皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。
なお、今回のトロフィーは、Master Card がスポンサーになっている関係上、仕事は外国人の方とやりとりさせてもらうことがほとんどでした。そして、彼らはとても楽しそうに仕事に取り組んでいたのがとても印象的です。
ちなみに、このトロフィーは重さが6kgもあるそうで、撮影の時に手に持っていたときは、腕がブルブル震えてしまいました。
Master Card によるプレスリリース
dezeen による紹介(動画あり)
Jun Mitani creates live-etched Player of the Match trophies for Rugby World Cup
Player of the Matchに選ばれたアントン・レイナート ブラウン選手のインタビューとトロフィー授与
https://www.youtube.com/watch?v=7BffTRfS-Lg
Technology and culture collide as we teamed up with @jmitani to create the world’s first live Player of the Match trophy.#RWC2019 #POTM @rugbyworldcup
— Mastercard (@Mastercard) September 20, 2019
Together, #StartSomethingPriceless pic.twitter.com/Nl1q5FHXln