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三谷純のブログ

「進化しすぎた脳」

「進化しすぎた脳」進化しすぎた脳  中高生と語る「大脳生理学」の最前線 を読みました。
脳科学を専門にしている研究者が、素人にもわかりやすく噛み砕いた口語調で脳の不思議、最先端の研究の成果を説明してくれています。すっっごく面白かったのでオススメです。
考えれば考えるほど、脳って不思議で、読み終わった後も長いこと「そもそも心ってなんだろう」と、哲学っぽいことを延々と考えてしまいました。
この本を読み終わって、人間を人間たらしめる所として「意識」と「無意識」の境目が重要な点なのだろうと思うようになりました。
人は様々な高度な行動や思考をしっかり考えながら行っているように見えるものの、でも実際は意識して行えることなどたかが知れていて、ほとんどのことは無意識に行っているのですね。
例えばこうして文章を書きながらも、意識せずに心臓は鼓動して、呼吸もしているし、目は適度に瞬きしているわけです。さらに指先はほとんど無意識に適切なキーを叩いているし、肩が凝れば無意識に首をグルングルン回しているわけです。
なんだかすごく不思議。
それに、胃袋が空になれば、なんとなくお腹が空いた気分になるし、疲れてくれば眠たいと思うようになるわけで、このような心の動き自分では無意識のうちに勝手になされてしまうわけです。
結局、自分で意識できる脳の活動というのは、実際に脳が行っている全体のほんの一握りに過ぎないのですね。
なかなかうまく言葉にできないですが、そんなことを考えさせられてしまった一冊だったのでした。
脳の研究というのは、今後もますます進んでいくでしょうが、生命の起源の研究と同様に、神の領域というか、人が畏れ崇高なものとしてきた対象まで、ますます明かされていくようでちょっと怖いような寂しいような気もします。