東京ミッドタウンでの展覧会「REALITY LAB――再生・再創造展」が明日から開幕ということで、今日は関係者を招いた内覧会が行われました。
昨日も準備に追われ、これまでの期間は慌ただしい日々でしたが、どうにかひと区切りをつけることができました。
このような貴重な機会をいただけたことに感謝いたします。
私の展示は当初、これまでに私が作成してきた折り紙作品の代表的なものを数点選んで並べることを想定していたのですが、いろいろあって、最終的には過去の試作品も含めて数百点あまりをドサッとステージに山盛りにすることになりました。初めてソフトウェアを開発してから、ちょうど2年くらいが経ちますが、それ以降に試作した様々なものをお披露目することとしました。もったいなくて捨てられなかったものが、このように活用できてよかった。。あまりにみすぼらしいものや、形を成していないもの、色の統一と言う観点で相応しくないものは除外していますが、それでも300個以上?は並べたと思いますので、それなりのボリュームとなりました(研究室の隅に段ボール箱に入れて積んでいたものが大半を占めるので、今は研究室がすっきりしてます)。
その中でも代表的な作品は新たに大きなサイズで制作し直して展示しました。それぞれが1枚の紙から生み出される様子のCG映像が大きなスクリーンに映し出されるようになっています。映像制作にはWOW社にご尽力いただきました。滑らかに形が変化する美しい映像を楽しむことができます(WOW社のWebサイトでの紹介はこちら)。この作品の中には、折り紙アーティストである布施知子氏、および工学研究家である野島武敏先生が以前から研究されていた、折りたたみ可能な円錐形状を1つ入れさせていただきました。ここに感謝申し上げます。
展示されている折り紙の多くは軸対称な立体を包んだような形をしているのですが、それらは全てコンピュータを使って設計されています。といっても、その原理は難しくなく、初等幾何の範囲で説明できる内容のものです。今回、企画担当の方から「折り紙と数学が密接な関係を持っていることを伝えたい」という提案をいただき、研究ノートを張り付けるなどの案も出されましたが、話の流れで急きょ「壁に数式を書く」ということになりました。前日に会場に乗り込んだものの、広い壁を前に茫然と立ち尽くしてしまいましたが、気合と勢いで、立体折り紙設計の原理を鉛筆でえいやっと書き込んでしまいました。数学に詳しい方に見られたらとても恥ずかしいのですが、数学は折り紙にも関係するのだ、ということをこれまで考えたことがなかった方々に、なにかイメージが伝えられたらと思います。
さらに1点、担当の方に我儘を聞き入れてもらって、下の写真の折り紙作品を展示させてもらいました。
これは、つい最近作った紙の造形で、曲線と曲面の集合で構成されています。これまでに、多くの方々が立体的な折り紙の設計を行ってきていますが、曲線折りだけを含む形をコンピュータで設計した例はあまり無いように思います。何か意味のある形ではないですが、今現在進行中の実験作として、今後の方向性を示す意味で、実際に見てもらえたらいいと思って展示させてもらいました。
今回、素晴らしい場を提供していただくことができましたが、私以外にも素晴らしい折り紙の研究・創作活動をされている方がたくさんいます。たまたま今回、三宅デザイン事務所と一緒に仕事をさせていただいた関係で、このような機会をいただきましたが、これまでに多くのことを学ばせてくださった方々に、改めて感謝申し上げます。