みたにっき@はてな

三谷純のブログ

文化交流使(15日目:クアラルンプール)

今日はマニラからクアラルンプールへの移動日。

10時ごろにホテルをチェックアウトし、新しくインストールした配車アプリ「Grab」を使って、空港まで乗せてくれる車を探してみました。

最初にユーザー登録の作業が若干あるものの、出発地はGPSで自動的にホテルのエントランスに設定されて、目的地も選択候補の中に最初から空港が出ていたので、わずか数タップで配車依頼を出すことができました。

その後、実際に車が到着したのは1,2分後! そのまま空港まで、実に快適に移動できました。目的地の指示に間違いが発生する余地もないし、料金もアプリで確認できるし、車内も綺麗で穏やかな運転で、まったく非の打ちどころがありませんでした。

このような便利なシステムが普及することで、昨日のタクシーでのトラブルのようなことは無くなっていくのでしょうね。最初からGrabを使っておけばよかった。。とも思いますが、これからの時代には無くなっていくであろう、貴重な経験ができたともいえるかもしれません。

 

マニラ空港からクアラルンプールまでの移動は4時間。実際の搭乗が予定より1時間遅れたために、空港でずいぶん時間を持て余してしまいました。クアラルンプールには、やはり1時間ほど遅れての到着となり、迎えに来てくれた皆さんにご迷惑をおかけしてしまいました。

 

空港では、国際交流基金日本文化センターのご担当者と、マレーシア折り紙協会の創立者であるKennethさんが迎えてくれました。Kennethさんは、私の名前が印刷された立派なパネルを持って熱烈に歓迎してくれました。

 

1時間くらいしてホテルに到着後、Kennethさんのお誘いで一緒に夕食をさせていただきました。マレーシアの美味しい料理を楽しませていただきました。

 

そのときにした話が、とても充実した内容だったので、いくつか備忘のために書いておきたいと思います。

 

Kenneth さん、ただものではないです。詳しい紹介記事がこちらにありますがセミコンダクタの製品開発関係の仕事で世界を飛び回って活躍する超優秀なエンジニアだったのに、とつぜん仕事をやめて、100%のリソースをマレーシアでの折り紙活動のために費やすことを決めたそうです。2004年にマレーシア折り紙協会を設立し、2011年にはペナンに折り紙のスタジオを設立。以来、活発に折り紙の啓もう活動、教育、創作、デザインなどの企画に取り組んでいるとのことです。2014年に東京で開催された折り紙の国際会議6OSMEに参加した際に私と面識を持ったことをきっかけに、今回再びこうして会えることを歓迎してくれました。

現在、マレーシアの折り紙のレベルを底上げし、折り紙先進国である日本やアメリカにキャッチアップすべく、折り紙教育のための教材整備や折り紙技能の認定試験の実施などを精力的にしているとのことです。

また、運営に関してはどうしても資金面に不安があるので、マレーシア政府からの助成金を獲得すべく、関係各所に働きかけているとか。

また、インターネット上で得られる世界各地の折り紙に関するニュースには常にアンテナをはっていて、私が文化交流使を拝命したというニュースをキャッチしてすぐに、マレーシアの大使館に三谷を呼ぶべきと声をかけたそうです。そして、折り紙コミュニティに私のイベントに関する告知を流し、わずか3時間で定員を超える参加希望者を集めたとか。まさに、優秀なビジネスマンといった活躍ぶりです。

ただ、彼が憂いていることの1つに折り紙教室などを行う際にネックとなる著作権の問題があるそうです。日本で活躍されている折り紙作家の作品をマレーシアで紹介したくても、その折り図については著作権の問題で配布できない。現地の人に本を買うように言いたくても物価の違いで現実的でない。結果として、許諾を容易に得られることが作品選びで重要な要素になってしまうとか(ちなみに、日本折紙学会では、作家が定める使用許諾範囲を明記したリストを会員向けに作っています)。

 

というわけで、非常に熱の入った話をたくさんしてくれました。彼は私より2つ年上なだけですが、折り紙を世の中に広げようとする情熱には圧倒されてしまいました。

日本においては、日本折紙学会日本折紙協会という2つの組織がかなりしっかり機能しています。それらを築き上げてきた先人の努力に感謝しなくてはならないと思いました。

 

さて、明日11月11日は、折り紙の日です。

 

Kenneth さんが主体となって、ここクアラルンプールでも大きな折り紙のイベントが開催されるそうです。私も参加させていただきます。そして、そのあとは早くもクアラルンプールを離れて、空路ペナンへ移動します。