スペイン出身のアーティスト、ホセマリア・シシリア氏との対話
今日は岩手の盛岡に来て、スペイン出身のアーティスト、ホセマリア・シシリア氏(
José María Sicilia - Wikipedia )とたくさん話をしました。
私の折り紙に興味をもったということで、この春に筑波大学に来てくださったのですが、その後また来日して岩手で活動をしているということで、ご招待いただきました。
次のページを見ることで、ホセマリア氏の日本での活動の一部を知ることができます。
上記のページから、一部を引用します。
2011年、「津波によって、多くの人たちが自分たちのスペースから追い出されたことを知り、実際に自分の目で状況を確かめようと来日しました」という彼は、震災により何千という人々が住むところを失ったことに大きな関心を抱き、それを題材にした作品を作ろうとすぐに立ち上がりました。
東北をまわったシシリア氏は、釜石、陸前高田、大船渡、福島、南相馬、などの40を超える場所で、精神療法医や専門家らと共に、子どもたちに3・11の体験や思い出を芸術的に表現させるワークショップを開きます。
とあるように、ホセマリア氏の関心は震災後の被災地の子どもたちにあります。
今日、実際にご本人から聞いた話の中で、これまでのいろいろな取り組みを聞かせていただきました。
たとえば、2011年3月のカレンダーに当時何があったかを書いてもらうワークショップを開いたり、放射線をイメージとしたオブジェを作ったり、我々日本人からすると、躊躇してしまうようなことに果敢に取り組んでいるそうです。実際、ワークショップでは大人たちからの反発も多かったそうです。
しかし、それは何よりも被災地の子どもたちのこれからの人生において、現実に目を向けて生きていかなければならない、という厳しいメッセージを伝えるためのようです。もしかしたら、私たち日本人が現実を直視せずに、時とともに風化していくのを待っているような姿に対して警告するものなのかもしれません。
ワークショップの開催は、カウンセラの方々のサポートのもと、心のケアには細心の注意を払っているそうです。
ホセマリア氏の、放射線をイメージしたという花のような形のオブジェを私が初めて見たときには、正直なところ、なんだこれは?と思ったのですが、氏から直接「現地の子どもたちは、放射線というものに正面から向かい合わなければならない。それが現実だ。」という言葉を聞いた時には、衝撃を受けました。
ホセ・マリア・シシリア 福島・冬の花 José María Sicilia, Fukushima Flores de invierno: GaleriaLIBRO
そして、アーティストは哲学を持たなくてはならない、作品に対して十分に説明できなくてはならない、というような、とても含蓄のあることを(こんな風に書いてしまうとあまりに簡単にまとめすぎですが)、一緒に食事をしながら、ゆっくりたくさん話をしてくれました。
私などは、単に綺麗で目を惹く、珍しい形であれば、なんとなくアート作品ぽいものができると軽く思っていたところがあるので、深く反省しているところです。
岩手はちょうど桜が綺麗な時期です。
それでも、「私はここに観光に来ているのではない、仕事に来ているのだ」という言葉を、カッコイイと思いました。
下の写真は、私が持って行った折り紙作品に、ホセマリア氏が、おもむろにパセリを乗せたところ。
お皿にパセリを乗せて、「よく見ろ」と言った後で、今度は折り紙にパセリを乗せて、「さあ、さっきと何が違う?」と質問されました。
まるで禅問答のようです。
見えるものだけが全てではない、奥の深い世界の片鱗を見せていただきました。
今回の話の中で、コラボレーションの提案をいただきましたが、私に務まるでしょうか。