みたにっき@はてな

三谷純のブログ

7OSME(第7回 折紙の国際会議)の参加報告

9月5日~7日の3日間にわたり、イギリス オックスフォードにて開催された 第7回 折紙の国際会議
に参加してきましたので、その簡単な報告を書いてみたいと思います。
 
ちなみに、折紙の国際会議はまるでオリンピックのように4年に1回開催されるもので、前回は1994年に東京大学で開催されました。

今回も、前回同様に約300名の参加があり、発表件数は約120件でした。
 
当初、Abstract投稿は207件あり、そのうち査読を経て proceeding に掲載されたものは96件、内訳は次の通りです。
Art 11件 
Education 5件
History 2件
Other science 5件
Mathematics 23件
Engineering 50件

予稿集は4分冊で全部で1200ページを超えるほどになっています。
書籍としてオンラインで購入可能です。

OSME7 Complete Set of 4 Volumes - The proceedings from the seventh meeting of Origami, Science, Mathematics and Education - Tarquin Group


概要だけであれば、会議のWebサイトのプログラムのページ 
http://osme.info/7osme/program.html
からダウンロードできます。

このうち私が関わる発表は4件です。
・Jun Mitani, "Basic Techniques and a Novel Notation for Curved Origami Design"
・Kazuki Ohshima, Ryuhei Uehara, and Jun Mitani , "Optimal Solution Search for the Origami Checkerboard Puzzle"
・Yuka Watanabe and Jun Mitani, "Modelling the Folding Motions of the Curved Folds"
・Yohei Yamamoto, and Jun Mitani, "Two-Layered Origami Tessellation"
(私自身が口頭発表したのは最初の1件です)

前回は、curved fold, self-folding の発表が目立ちましたが、 今回はどちらも件数が少なく、その代わりに simulation, rigid-fold が多かった印象です。設計においては tessellation を扱うものが多くありました。

当日は4つのセッションがパラレルに進行し、それぞれのセッション名だけ取り出すと次のような感じです。

工学
  Rigid Origami, Deployable Structures, Folded Core Structures
  Mechanical Behavior, Simulation, Fabrication, Robotics
  Geometric Constructions, Thick Panel Origami
数学
  Metamaterials, Theory, Colour Change Origami
  Flat Origami and Tessellations,
芸術(設計)
  Art and Design, Origami Design, Design of Origami Structures
  Tessellations, Curved Folds and Tessellations
教育、歴史
  Education, History, Science

全体的に、純粋に数学的な観点から議論するものよりも、工学的な視点から実用化を目指したものが増えたように思います。 とくに、最近になって増加傾向のある中国からの発表は、ほとんどが工学的なものでした。 長いこと、折り紙愛好家が純粋な興味から細々と取り組んできた研究領域に、
多くの研究予算を持った、所謂、競争原理に基づく研究チームが参入してきたような印象で、これは、どの分野においても、分野が発展する過程で経験するものなのかな、という気がします。

Keynote で最後の締めとなった東京大学の舘知宏先生の発表は、彼の過去10年間の取り組みを総括するもので、とても価値あるものでした。

折紙分野における研究では、Erik Demaine, Robert Lang, Thomas Hull, Tomohiro Tachi の4名が際立った業績を出していますが、ここ最近では舘先生の活躍が目立っている印象です。

日本からは30名程度の参加者がありましたが、これは全体の1割程度に過ぎず、折り紙の世界も国際化が大いに進んだように思います。

7OSMEの後には、BOS(British Origami Society)のイベントが2日あり、ここでは純粋に折り紙を楽しむイベントとして、多くのワークショップが開催されました。日本で開催されるワークショップとの違いとしては、わりと高齢者の参加が多く、動物や昆虫のような具象物ではなくて、Tessellationやモジュラー折り紙が好まれる傾向にあるようでした。

会場はオックスフォード大学の数あるカレッジの中の1つ、セント・アンズ・カレッジで、宿舎を含め、大きな食堂、会議場があり、イベント期間中は3回の食事を含めて、すべてがこのカレッジの中で完結してしまいました。折り紙コミュニティの人たちが密集した空間で、楽しい意見交換を行うことができ、とても充実した時間を過ごすことができました。
 
次の開催はまた4年後です。その時までの折紙の研究の進展が楽しみです。